空腹時と食後と、どうちがうのか

 

すぐに効果を期待したいのなら、薬剤は空腹時に飲みなさい

 先述した通り、カプセル剤、錠剤などの飲み薬は、まず、胃に入ります。錠剤は胃で壊れ、カプセル剤は胃でカプセル剤のゼラチンが溶け、なかの薬が溶けたします。空腹時に飲んだ薬剤は、胃で溶けだした後、約30分以内に胃から小腸へ運ばれます。

 しかし、食後に薬剤を飲むと、食べ物が胃にあるので、胃の強い収縮運動によって、溶けだした薬と食べ物とが混ざります。食べ物とバイバイして薬だけが小腸へ進んでいくということはできません。薬は食べ物と一緒に小腸に運ばれます。

 したがって、食後に飲む薬剤は、食事の内容と量によって、胃から小腸へ移動する時間が変わります。特に、脂っこい食事を多量にとり、しかもご飯も合わせてしっかりととると、胃から小腸へでていく時間は3~4時間ほどもかかります。

 おもしろいデータを紹介しましょう。

 顆粒剤を飲んだ後、胃、小腸を顆粒が移動していく様子を調べた結果が次の図(181ページ)です。実験は、数日で放射能がなくなってしまうという、放射性の核種を顆粒にひっつけ、カンマシンチグラフィーという方法で測定しました。

 空腹時に飲むと、30分ほどで胃は空っぽになります。しかし、食後に飲むと、食事の内容にもよりますが、胃に約2時間弱から4時間もとどまることがわかります。

 したがって、食後に薬剤を飲むと、吸収部位の小腸に薬が到達するのに2~4時間以上もかかってしまいます。

 ですから、薬剤を飲んだ後、すぐに効かせたい場合、たとえば、睡眠薬は夕食後ではなく、寝る前や食間などの空腹時に飮むほうが速く効きます。