腎・膀胱結核:尿道炎:性行為感染症

腎・膀胱結核

 肺の初期感染巣より腎に結核菌が血行性に撒布されて、腎結核となります。腎結核は尿流によって排菌された菌が尿管、膀胱に感染して、尿管狭窄や膀胱の刺激症状をひき起こします。現在では患者数は減少してきましたが、肺結核にかかった人や、高齢者、免疫能の低下した患者では罹患者がいます。

 病巣が腎部に限局している場合は、症状は強くありません。腎臓が1個しかないか、あるいは機能している腎臓が1個の場合、あるいは両側が腎結核に侵されると腎機能の低下をきた
し、腎不全による症状で診断されることになります。

 腎盂や尿管の瘢痕狭窄を起こすと、尿の流れが阻害され、水腎症となり腎部の疼痛、鈍痛が出現し、腎機能が低下します。膀胱結核では、慢性膀胱炎と同じ症状となり、排尿痛(終末痛がいちじるしい)頻尿、残尿感が出現し、さらに進行すると膀胱が萎縮し、激しい頻尿や尿失禁などをきたします。

 尿路結核が進行すると、体重減少、微熱、全身倦怠感、全身衰弱が出現します。難治性の膀胱炎では膀胱結核を疑う必要があります。

尿道

 尿道の細菌性感染による炎症。性交によって感染するSTD(性行為感染症)とそうでないものに分けられます。STDとしては、淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に分けられます。

 男性でSTDによらない尿道炎としては、尿道狭窄、尿道憩室、尿道結石などの基礎疾患のための細菌感染があります。

 女性の場合は慢性膀胱炎の病変が膀胱の出口付近にあり、炎症が尿道にまで及ぶことが多く、原因疾患がはっきりしないことが多い。

 症状としては、排尿痛、頻尿など膀胱炎と同じようなものですが、排尿痛は多くは尿の初めから終わりまで続きます。掻痒感を尿道に感じることもあります。また、外尿道口より排朧することもよくみられます。

 治療としては、原因疾患があればそれを治療します。ない場合は、抗生物質を服用し、水分を多くとりアルコール、刺激性食物を控えます。

性行為感染症

 性行為感染症(STI))とは、従来の梅毒・淋病などの性病の他に、性行為あるいはその類似行為により感染する疾患を含む概念で、陰部ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス症、毛ジラミ症、サイトメガロウイルス症なども含みます。

 風俗営業における性行為あるいはその類似行為によって罹患する最も頻度の高いものは淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎です。また、梅毒も決して消失したわけでなく、最近ではATIDS(HIV)感染も無視できないものになっています。