ポッター症候群:フィンランド型先天性ネフロ‐ゼ症候群

先天性腎症

 生まれながらに腎の異常があって生命にかかわる重大な結果をもたらす疾患です。以前はほとんどが救命することは不可能でしたが現在ではCAPDなどの透析療法や移植により生命予後が改善しています。

ポッター症候群

 腎無形成、下顎骨低形成、肺低形成を特徴とする疾患で、現在でも最も重篤な病気です。多くの例では両側腎が先天的に低形成または無形成のため、妊娠中に羊水を作ることができず羊水過少症となっています。羊水の形成かかるいと胎児は発育過程で肺の形成が2次的にわるくなり、患児の多くは出生直後に自力呼吸ができず換気不全のために死亡してしまいます。

先天性ネフローゼ症候群

 生直後から、遅くとも生後数か月(3か月とするものと6か月とするものと定義が異なっているのが現状です)以内に発症する、ネフローゼ症候群です。フィンランドに多くみられるフィンランド型とび慢性メサンジウム硬化症の2つに大別されます。

フィンランド型先天性ネフロ‐ゼ症候群

 25%の症例が出生時に、25%が生後1週間以内に、残りの症例も遅くとも3か月以内に全身浮腫、とりわけ腹水による腹部膨隆によって気づかれます。

 低蛋白血症(蛋白喪失)による栄養状態の低下のため体重の増えが非常にわるく、浮腫も重篤なため感染を繰り返し、肺炎や消化管感染症(胃腸炎)が原因でほとんどの症例が2歳までに死亡していました。

 片側腎摘出をせずに、直接生後6~12か月ころに腎移植をすることもありますが、患児の体が小さい分だけ移植を行う上で高い技術が必要です。抗生剤やガンマダロブリン療法など、感染症に対する治療法が向上したことも、本症の救命率を上げている要因になっています。

 本症は常染色体性劣性遺伝によって親から子に伝えられるとされています。本症の患児をもつ両親が次の子を妊娠したときには、妊娠3か月ころに羊水検査を行い、羊水中のアルファ・フェトプロテイン値の上昇がみられた場合にはその子が本症である可能性が極めて高いことも判明しています。また、本症では、出生時に胎盤が正常よりも大きいことも特徴の1つとされています。