非淋菌性尿道炎

1 臨床的特徴  1.症状 淋菌以外の病原微生物で起こる尿道炎の総称。男子では性交により感染する。症状は,男子においては淋病と類似するかやや緩やかであり,いろいろな程度の膿尿ないし混濁尿,尿道の掻痒感,排尿異常,排尿時灼熱感などがある。経過は間歇的に変動があり,症状の休止と再燃を繰り返して遷延するが,放置しても自然に軽快することがある。原因がはっきりしないので患者は不安に駆られる。重い合併症にライター症候群Reiter's syndromeがあるが,合併はまれで1%未満といわれるo  淋病と合併感染している場合には,淋病は治癒してもこれらの症状は残る。  2.病原体 約半数にクラミジアが認められる。そのほか,単純ヘルペスウイルス2型,カンジダマイコプラズマなどが検出されることがあるが,病原微生物が確認できない場合も少なくない。  3.検査 淋菌の検出が塗抹・培養を繰り返しても不能の場合を本症と診断する。  尿道からの分泌物を欠く場合は,スタンプ法で外尿道口塗抹標本(尿道スメア)に1,000倍顕微鏡検査で1視野5個以上多核白血球を認めたものを本症とする。  II 疫学的特徴  1.発生状況 欧米では,男子の本症年開発症数は男子の淋病のそれを上回っているという報告が多い。米国の学生クリニックにおける尿道炎の85%以上は本症という報告がある。 日本では,届出を要する性病ではないので全国的な統計はないが,大阪府性病動態調査では, 1971年から調査項目に加えられており,それによれば1974年以米本症患者数は男子の淋病患者数を凌駕している。  2.感染源 ヒト。病原巣も同じ。  3.伝播様式 性交。  4.潜伏期 6日から3週間あるいはそれ以上月余。詳細不明。  5.伝染期間 不明。  6.ヒトの感受性 一般的に広く感受性がある。一般に免疫は弱く,一時的で長期の獲得免疫は見られない。  Ⅲ 予防対策  方針,防疫,流行時対策,国際的対策 性器クラミジア感染症に同じ。