カプセル剤には、いろいろな工夫がカプセル剤には、不思議な工夫がいっぱい

 粉末の薬は、口のなかで頬の裏側などにひっついて、飲みにくいという欠点があります。

 そのような場合、若い人は別にして、オブラートに粉末の薬を包んで飲む方法を思いだす人もいるでしょう。薄いデンプンで作った、透明なフィルム状のオブラートを広げ、その中心に粉末の薬を置いて包み、水、ぬるま湯などで飲みこむ方法です。

 たしかに、いちいちオブラートに包んで飲むのは、非常に面倒です。そこで、飲みやすくするため、あらかじめゼラチンカプセルに薬の粉末あるいは顆粒を入れたのが「カプセル剤」です。カプセルはボディーとキャップからできています。

 現在、市場に出回っているカプセルの大半は、実はゼラチンで作られたものです。ゼラチンの材料は牛の皮膚から取るので、ひょっとして狂牛病のウイルスなどに汚染されているのではないか、との心配が数年前にヨーロッパなどで起こりました。

 ヨーロッパで51人の死亡者をだした、クロイツフェルトーヤコブ病という、恐ろしい病気を覚えておられるでしょう。

 この病気の一種をひき起こした、プリオンという蛋白質が、狂牛病をひき起こすプリオンと同じものであることが、最近の研究でわかっています。狂牛病にかかった人は、どうも狂牛病に感染した牛肉を食べて感染したようです。2000年に入って、デンマークでも狂生炳にかかった牛を処分した、というニュースがありました。

 日頃、菓子として食べている、ゼリーの主成分もゼラチンです。ゼラチンは、蛋白質です。牛の皮膚に含まれているコラーゲンという蛋白質から作られています。このコラーゲンを配合した化粧品が、高級化粧品として売られています。コラーゲンから作ったものがゼラチンです。

 ゼラチンは、約10%の水分を含んでいます。水分がまっだくなくなると、ゼラチンはパリパリに乾燥します。したがって、カプセル剤の保存には、湿度が30~50%ほどある所がよいと言われています。乾燥した気候の時は、ゼラチンのカプセル剤をそのまま放置すると、カプセル剤から水分が抜けていき、細かいヒビ割れができやすくなります。

 このような乾燥を防ぐため、通常、カプセル剤はPTP(Press Through Package)と呼ばれる、でっぱったプラスチック製の容器内に入れ、その上からアルミニウムのラミネートフィルムで密封した形で販売されています。

 また、他の包装としては、SP(Str1p Package)と呼ばれる形態もあります。こちらはセロファンやアルミニウムにポリエチレンでラミネートしたフィルム2枚の間にカプセル剤や錠剤を入れ、周囲を熱で圧着したものです。包装から取りだしたカプセル剤は、決してそのまま放置しないでください。

 また、PTP包装から取りだしたカプセル剤を、日本の梅雨時のような高温、多湿の室内に数力月も放置しておくと、カプセル剤の表面が蛋白変性を起こし、カプセル剤が溶けにくくなります。この点にもくれぐれも注意してください。

 やむを得ず、PTP包装からだしてしまい、再び保存しなければならないような場合は、海苔の空き缶などに入れて保存してください。

 いったん、チャックつきの小さいビニール袋に入れ、缶ごと冷蔵庫で保存するのであれば、製品に記載されている有効期間まではもつと思います。