膣内リング(TDF-IVR)

米国のNorthwestern University大学の科学者が、新しい膣内リングを開発しました。これを用いれば、女性のHIV感染の予防を強化できるそうです。

簡単に挿入することができるこの器具は、28日間入れたままでも大丈夫であり、この期間中に感染部位に抗レトロウィルス薬のテノホビル(tenofovir)を直接送達します。

このリングは独特のポリマー構造をもち、液体の存在下でそのエラストマー(elastomer;加熱すると溶け、常温でゴム弾性を示す高分子物質)が膨らみ、既存の膣内器具( intravaginal devices)の場合の1000倍以上の薬剤を供給します。

このリングはTDF-IVR(フマル酸テノホビル ジソプロキシル膣内リング;tenofovir disoproxil fumarate intravaginal ring)として知られています。

TDF-IVRがサル免疫不全ウイルス(simian immunodeficiency virus)感染を防いだという成功例を受けて、ニューヨークのAlbert Einstein College of Medicineは今年11月にTDF-IVRの臨床試験を実施する予定です。

この試験では60名の女性を対象に、TDF-IVRの安全性を評価し、薬剤の使用量を測定します。

他の性感染症(sexually transmitted disease)を予防したい場合には、TDF-IVRに避妊薬(contraceptive)や抗ウイルス薬など他の薬剤を組み込むことが可能です。これにより使用頻度が高まると考えられています。つまり、「儲ける」というわけです。

複数の薬剤を供給するシステムを構築したり、放出速度を変化させたりすることもできるので、女性の健康に大きなインパクトを与えるでしょう。