耳の後ろに貼ると効果大

 

 また、貼る場所によっても、薬が吸収される速さ、効き具合が変わると言われています。

 人間の皮膚でもっとも薬の吸収が速いのは、男性の睾丸の裏側のシワシワになっている部位だと言われています。

 しかし、そのような部位の貼り薬は見たことがありません。きっと、剥がす時に痛い思いをせねばならないからだと思います。

 その次に吸収が速いと言われているのが、耳の後ろ側で皮膚の柔らかい部位です。

 乗物酔いの予防薬のスコポラミンを貼り薬にした製品が、アメリカで売られています。接着面積に、スコポラミンが1・5服含まれています。このうちO・5㎎が3日間で徐々に放出、吸収されて体内に入り、効果をだします。

 この貼り薬は、そもそもアメリカのNASA(航空宇宙局)が、宇宙飛行士の乗り物酔い防止のために開発したものです。

 宇宙ロケットを打ち上げた後、特に、大気圏内から宇宙空間へ飛びだす時、激しく飛行船が揺れます。また逆に、宇宙空間から大気圏内に再突入する時も激しく飛行船が揺れます。

 かつて、宇宙飛行士は、海上へ着水して帰還しました。当時の光景を思いだしてください。着水後、すぐに(ツチが開いて彼らはでてきたでしょうか? そうではありません。検疫に1日かかり、その後、彼らはヤンヤの喝采を浴びてテレビに映っていました。

 実は、着水後、彼らは乗り物酔いでゲロゲロと吐き、ダウンしていたのです。真っ青で元気のない英雄たちが、テレビに映ったのではサマになりません。1日静養をとってから、元気な姿でテレビに映っていたのです。

 このようなことから、長時間効く乗り物酔いの予防薬の開発に、NASAは乗りだしたのです。その成果として、スコポラミンの貼り薬の開発に成功しました。

 この乗り物酔いの貼り薬を、彼らは、耳の後ろ側、皮膚の柔らかい部位に貼っています。だから、宇宙から帰還して即、元気な笑顔でテレビに映しだされています。

 耳の後ろ側に次いで皮膚の柔らかい部位は、二の腕の内側です。このような部位に貼ると、薬の吸収がよいと言われています。

 しかし、一般には見えない胸、背中、腹に貼ることを前提に、貼り薬は作られています。

 話が少し横道にそれますが、健康とビジネス社会について考えてみましょう。

 欧米のビジネス社会で出世するためには、してはならないことがあります。それは、公的な場でタバコを吸う、ぶくぶく太る、しばしば風邪をひいて会社を休む、病気がちなどです。

 ビジネス社会で人の上に立つ者は、部下を指導する立場にあり、己れをコントロールできなければ、部下にしめしがつかないと考えます。

 したがって、先述したようなカテゴリー(範疇)に入ると、ビジネスマンとしての地位が上がりません。特に、病気であることを、人前におおっぴらにさらすのは好まれていません。そのため、貼り薬を貼る部位は、服装でかくれる部分が好まれています。