禁煙のための貼り薬

 

 「二コチンパッチ」という薬剤があります。

 これは、貼り薬に二コチンを含ませた製品です。商品名は、二コチネルTTSです。

 愛煙家が禁煙を試み、いろいろと努力してもなかなか成功しないのが現実です。無理に禁煙すると、禁断症状がでて、仕事中に急にイライラし、仲間に迷惑をかけたという経験をした人も多いと思います。

 どうしても、禁煙の壁を乗り越えることができず、1週間かそこらでまたタバコを吸ってしまう人が多いようです。

 そこで、ヘビースモーカーが禁煙しようと意を決した時、二コチンを体外から皮膚を通して徐々に吸収させて補充すると、二コチン切れを防ぐとともに心臓や血圧にはほとんど影響せずに禁煙できます。実際には二コチンの補充の量を1ヵ月、数力月にわたって徐々に減らし、禁断症状に悩まされることなく、禁煙することができます。

 一般的な使用法は、1日1回(24時間毎)二コチンパッチを貼ります。合計8週間二コチンパッチを貼ることにより、禁煙を行うという治療法です。

 治療をはじめてから、6ヵ月間の追跡調査を行ったところ、53・3%の人が禁煙に成功し、喫煙から離脱することができた、という結果が得られています。

 二コチンパッチの副作用は、約40%の人に認められています。具体的には、二コチンパッチを貼った皮膚の発赤、かゆみです。全身的な副作用としては、吐き気、不眠、頭痛が主なものです。その発生頻度は、全体の約15%でした。

 これらの副作用で二コチンパッチ療法を中断した人は、2・6%にすぎませんでした。このようなことから、二コチンパッチは、今後の禁煙世界を築いていく上で、非常に重要な薬剤になると思われます。これも世界的な製薬会社であるノバルティス社のすぐれものです。この貼り薬は、医師に相談して処方してもらいます。しかし、現在のところ残念ながら保険適応にはなっていません。