粉末の薬と顆粒剤はどう効果がちがうのか

 カプセル剤や錠剤に比べて、ドリンク剤が速く効くのであれば、粉末の薬(散剤)もまた直接水、ぬるま湯で飲むのだから、速く吸収されて、効果も速くでることは間違いありません。

 粉末の胃薬は、具悸囘に胃のなかでどう効くのでしょうか。

 まず、粉末は軽いので、胃液の上に浮かびます。浮かんで胃の粘膜に付着させることによって薬を効かす、というのも粉末の胃薬の一つの狙いです。

 一般に粒子の大きさが小さければ小さいほど、粒子から薬が溶けだす速さは速くなります。紅茶に砂糖を溶かす場合を考えてみてください。紅茶のなかに角砂糖を入れるとなかなか溶けませんので、よくかき回さなければなりません。ところが、グラニュー糖を入れると、すぐに溶けます。

 このちがいは、表面積の問題です。化学物質が水に溶ける速さは、その形状の表面積に比例すると言われています。粒の大きさが小さければ小さいほど、速ぐ溶けます。このようなことから、粉末の胃薬が重宝がられているのです。

 しかし、粉末の薬は、粒の大きさを多少調節したとしても、口のなかにくっついたりして飲みにくいことには変わりありません。

 そこで「速ぐ溶けて、飲みやすい」ことを目的に、顆粒状の薬(顆粒剤)が開発されました。ただし、顆粒剤では、顆粒の包装が問題となります。そこで試行錯誤が繰り返され、現在ではコーヒーや紅茶に入れる顆粒状の砂糖のような、スティック状の包装をしたものが多く販売されています。

 粉末の薬、顆粒剤を飲む時、コップに水、ぬるま湯を入れ、そこに薬剤を入れてから飲んでいる人を見かけ良す。しかし、顆粒剤は、飲んだ後、胃では溶けず、小腸にいって初めて溶ける「腸溶性の顆粒技術」が使われている場合がありますから、この方法はよくありません。

 たとえば、顆粒剤ではないけれども、胃潰瘍薬のオメプラソール(商品名オメプラール、オメプラソン)、ランソプラソール(商品名タケプロン)は、胃酸で分解されて効かなくなります。そのため、錠剤の表面に腸溶性のコーティングが施されていたり、腸溶性の顆粒としてカプセルに入れられたりしています。

 このような薬剤は、あらかじめ水、ぬるま湯などに溶かしてから飲むと、医師の狙い通りの効き目が得られません。ですから、薬剤を溶かして飲むようなことをしないでください。