膜性増殖性糸球体腎炎

 本症はSLE(全身性エリテマトーデス)と同様に持続性の低補体血症を呈し、ただしSLEとは異なり抗核抗体や抗DNA抗体は出現せず、血尿、蛋白尿を呈し、腎病理組織学的に
血管壁が肥厚し、メサンギウム細胞と基質が増加するという特徴を持つ疾患です。

 従来、本症は10年後に半数の者が末期腎不全になってしまうという予後のわるい疾患とされていました。

 しかし、ステロイド剤の隔日投与療法が行なわれるようになり、腎機能に関する予後は以前よりもかなりよいことが近年わかってきました。しかも、わが国では学童、生徒を対象とした学校検尿のシステムが確立した結果、本症を旱い時期に診斷することができるようになってきました。

 旱い時期の本症に対して、ステロイド剤の投与を中心とする治療が行なわれ、低補体血症が改善するだけでなく、血尿や蛋白尿などの尿の異常所見も完全に消失する症例も見られるようになってきています。

 最近では、治療を中止することができた症例も報告されています。しかし、高血圧を診断時にすでに呈してしまっている例では、従来のステロイド剤を中心とした治療だけではよい結果が得られないことが多く、種々の工夫をこらした治療が行なわれることがあります。

 本症においては、補体系の活性化を促進する自己抗体が出現することかおり、広い意味での自己免疫疾患(膠原病) の一種と考えられるようになっています。