チキソトロピー性水中分散イオン伝導ペースト

チキソトロピー性添加物で考えられる負の副作用は、スケール化です。「スケール化」は不要物質の構築であり、汚れや沈殿物生成、付着物、かす、堆積、そしてスラグ形成やスラッジ生成としても知られています。この現象は、水分濃度や温度上昇またはpHを含む要因によって飽和したイオン性ペーストの水溶液中において、イオン性物質が溶解または浮遊した際に発生します。このような状態ではイオン性物質が表面に凝結、沈殿または固化します。スケールのタイプにはカルシウム化合物(炭酸カルシウムや燐酸カルシウムなど)やマグネシウム化合物が含まれます。イオン性ペースト中のイオン性物質がこのように凝結、沈殿または固化すると、伝導性が低下します。

以前に申し上げたように、伝導性は係属中の出願で用いられるペーストに極めて重要です。根管長測定装置は電気抵抗の測定に依存しているため、注入器とその中身は通常の測定電極に取って代わるものでなければなりません。さらに、ペーストは検出範囲内の電気伝導性および抵抗性を保有し、その上、電極として使用可能なものである必要があります。従って、スケール抑制作用を有するチキソトロピー性添加物を使用し、適当な伝導性を維持することが重要になります。

スケールはスケール成分(炭酸カルシウムなど)の過飽和や結晶核生成、および結晶質増大のプロセスを経て発生します。スケール阻害物質は結晶質増大のあらゆる段階で結晶表面に接着します。スケール阻害物質の機能は同物質自体のタイプや、スケールおよび水質状態のタイプに大きく依存するため、顕著な現象によって主に凝結阻害作用、分散作用や接着抑制作用へと分類されます。

チキソトロピーを生じさせるが、スケール化をもたらさない水溶性ポリマーは凝結阻害作用と接着抑制作用、および分散作用という3つの特性を有しています。これらの特性を踏まえると、分散作用によるスケール抑制は高温度とpH、および多濃度による高度の過飽和状態で発生することになるため、スケール阻害物質は結晶質増大プロセスにおける結晶への接着を通して、堅いスケールの生成を阻害すると考えられます。

スケール阻害物質のポリマーを組成するモノマーには、アクリル酸やメタクリル酸、マイレン酸、イタコン酸などだけでなく、これらと共重合するビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシ-1-プロパンスルホン酸などのカルボキシル基が一般的に含まれています。高度なスケール抑制能を呈するポリマーを発達させる上では、錯体形成能を高めてゲル化を避けるために分子量や官能基の比率(カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基やスルホン酸基)を制御する必要があります。上述したようにポリマーを管理することによって、固形化を遅らせることが可能となり、その結果として可能な限り伝導性を維持させることができます。