構成成分の変化でアレルギー誘発性を除去、栄養的価値を高める


 遺伝子組み換え食品の開発に人類的意義や目的があれば、安全性にかずかずの問題があるとしても、その利用や開発を進める余地が生じる。開発企業や行政の主張を通じて、組み換え食品開発の意義と問題点を検証した。


(1)開発企業の主張

 遺伝子組み換え食品の開発企業が、組み換え作物を世に出すにあたって腫脹した開発での大義名分は、1)害虫抵抗性作物などの開発は、減農薬や無農薬につながり、人、動物、環境への安全性が高い。2)経済的な面から、農薬の使用が困難な開発途上国では、害虫、病気、雑草などにより収穫量が減少しているが、害虫抵抗性作物、耐病性作物や除草剤耐性作物の開発により開発途上国の食糧増産に寄与できる。3)不耕起栽培では、表面肥沃土壌や農薬、肥料の流出を防止することができるが、雑草防除が難しく普及しなかった。除草剤耐性作物の開発により、除草剤散布ができ不耕起栽培が可能となり、環境保全につながる。4)耐病性、耐寒性、耐乾性、耐塩性作物の開発により、近い将来に予想される食料危機に対処できる、などが開発企業が主張する主な論点である。

(2)農水省、厚生省などの主張

 農水省や厚生省は、遺伝子組み換え技術が従来の育種法の延長と位置づけ、組み換え技術の導入によって品種改良を、正確かつ短期間で行うことできるようになったとし、好ましい形質を導入することを意義、目的としている。好ましい形質として1)疾病、害虫、除草剤耐性、耐干ばつ、低温耐性、収量や効率の向上、2)食品としての加工特性、保存特性の改良、3)味や香り、歯ごたえなど消費者の好みに近づけたり、構成成分の変化でアレルギー誘発性を除去、栄養的価値を高める、などである。

 バイオテクノロジーの意義として、食料生産への貢献、環境保全への貢献、その他暮らしに役立つ新たな分野への応用などをあげている。遺伝子組み換え食品が、バイオ食品の一部として位置づけられており、バイオ食品の意義がそっくり遺伝子組み換え食品の開発の意義に使われている。これに加え、新産業の育成と国際競争力の維持、強化のために今後重点的に遺伝子組み換え技術の育成に取り組むべきとしている。