結核性髄膜炎

結核菌の血行性散布による脳内病巣が髄膜に波及したもので脳底部に著しい。 3歳以下のBCG未接種児に好発するが既接種者でも否定できず、どの年齢層でも発症し得る。初感染後6か月以内に多い。  臨床経過は3期に分かれる。  第1期(前駆期、非特異症状)潜行性、ときに発熱し無気力、無表情、易刺激性で、ときに嘔吐、頭痛を訴える。  第2期(刺激期、神経学的徴候)大脳を覆う滲出物のため、項部硬直、痙攣、病的反射あり、病変が脳底部に及べば脳神経・脳幹症状を来す。眼運動障害、深部腱反射異常、錯乱、意識混濁、不随意運動などが見られる。  第3期(麻痺期、昏睡)運動麻痺、昏睡、後弓反張、乳頭浮腫を来し、除脳硬直状態となる。  髄液はフィブリン形成しやすく、塗抹・培養で結核菌Mycobacteパum tube八7Zゐ臨を認める。治療はイソニコチン酸ヒドラジド(INH)、リファンピシン(RFP)、ストレプトマイシン(SM)3者併用[ときにエタンブトール(EB)加]で開始する。INH、 RFPは経口投与でも髄液移行性は優れており、 INH髄注は行わない。 INH耐性菌にはEBを用いる。  抗結核剤前時代には全例3~4週の経過で死亡した。最近は治療開始時期と患者の年齢により予後は大きく左右され、第1期全治、第2期15%死亡. 75%神経後遺症(水頭症、難聴、発育障害など)、第3期50%死亡程度である。わが国の小児結核性髄膜炎の予後調査では治癒22%、後遺症52%、死亡27%であった。まず本症を疑ってみる。早期診断が極めて重要である。治癒の遅れは救命できても重症心身障害を残すことになる。