vedolizumab

武田薬品とその完全子会社Takeda Pharmaceuticals U.S.A.は4日、治験薬『vedolizumab』の生物学的製剤承認申請書(Biologics License Application:BLA)の優先審査がFDAによって許可されたことを発表しました。同薬は、中等度から重度の潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)の成人患者を治療するものです。2013年6月に提出したBLAでは、クローン病(Crohn's disease)や結腸炎などの治療薬としてvedolizumabの承認を求めています。
重篤な疾患を対象とする場合や、仮に承認されても安全性と有効性の著しい向上が期待できる場合には、申請書に対する優先審査が認められます。通常の審査期間は12ヵ月ですが、優先審査の場合には提出日から6ヵ月となります。競争の激しい業界なのでこの6ヵ月は大きいですね。
腸炎に関してはその治療選択肢をさらに増やす必要があり、vedolizumabの優先審査はこのニーズを浮き彫りにしました。優先審査の動きをみれば医薬品業界の動向もわかりそうですね。武田薬品は同薬の可能性、つまりCDおよびUCの患者に対する新しい治療選択肢を提供する可能性に興奮していることでしょう。
CDとUCは炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)の最も一般的なタイプであり、場合によっては重篤な合併症を引き起こすことがあります。治療法はいちおう確立しているものの、病状の回復を維持できない患者はたくさんいます。
GEMINI<img src="/images_e/e/F06A.gif" alt="トレードマーク(TM)" width="15" height="15" border="0" />試験では約40か国の患者2700名を対象にvedolizumab投与を行いました。同試験は、CDとUCを同時に評価した今までの第Ⅲ相臨床試験で最も大規模なものとなりました。登録患者はグルココルチコイド(glucocorticoid)や免疫調節因子、腫瘍壊死因子α(TNFアルファ)拮抗薬など、最低一つ以上の通常療法で回復しなかった人たちです。
vedolizumabの第Ⅲ相試験結果は『the New England Journal of Medicine』に最近掲載されました。
vedolizumabについて
治験段階中のvedolizumabは、α4β7インテグリン(alpha4beta7 integrin)作用を特異的に遮断するヒトモノクローナル抗体であり、腸粘膜アドレシン細胞接着分子(mucosal addressin cell adhesion molecule:MAdCAM-1)に対するα4β7の結合を阻害します。MAdCAM-1は主に胃腸管の血管やリンパ節に発現します。α4β7インテグリンは血中の白血球の一部に発現します。