アテローム性血栓性脳梗塞とラクナ梗塞の違い


脳卒中は、ある日突然倒れて意識がなくなるとか、半身がきかない、言葉がうまく言えない、という風に、発病が急務であるのが特徴です。脳卒中は一つの病気ではなく、いくつかの種類に分けられます。しかし、そのどれも血管に原因があって起こるので、脳の血管性障害と呼ばれることもあります。
代表的なものが、脳出血脳梗塞(脳軟化症と同義)、一過性脳虚血発作、くも膜下出血です。これらが一体どういのものなのかをまず述べておきましょう。
脳出血は脳内の血管が破れて出血するもので、ひどい場合は数時間のうちに昏睡に陥って死亡してしまうこともあります。高血圧との関係が最も深く、高血圧性脳出血とも言われます。
脳梗塞は、頸部や頭蓋内あるいは脳内の血管が詰まって、脳組織が傷害されるものです。脳梗塞でも、ひどい場合には意識がなくなり、脳出血との区別が難しいこともありますが、意識は障害されない場合のほうが多いです。脳梗塞には脳血栓と脳塞栓とがあります。脳塞栓は、心臓内などにできた血の塊が遊離して脳血管に詰まるもので、発病が極めて急激で脳血栓よりも重い症状を起こすことが多いです。脳血栓には、比較的大きな動脈に血栓ができるもの(アテローム血栓脳梗塞)と、脳の深部に栄養を送る小さな動脈がつまって小さな梗塞(ラクナ梗塞)ができる場合があります。ラクナ梗塞は、欧米人に比べて日本人に多い脳梗塞のタイプです。
脳出血のほとんどは昼間に起こりますが、脳梗塞は昼間に限らず、夜間睡眠中にも起こることが少なくありません。夜便所に起きた時、あるいは朝起きた時に、言葉が言いにくかったり、半身の麻痺や痺れに気づくといった起こり方をするのは、たいてい脳梗塞です。
一回の発作による死亡率は、脳塞栓と脳出血が脳血栓に比べて高いです。脳塞栓、脳血栓は再発を繰り返すことが少なくなく、そのたびに症状はひどくなります。