ブラストミセス症(Blastomycosis)

原因菌はBlastor、砂ces dermatitidis (完全菌はAjellomyces dermatitidisと呼ばれる)である。本症は北米大陸、特にミシシッピー川渓谷沿いの地域に多発する。最近カナダ、アフリカ、イスラエル、インド、サウジアラビアなどでの発生が報告されている。土壌真菌と考えられているが、自然界での生態は不明である。ヒトのほかにイヌ、ネコ、ウマにも感染する。

 肺ブラストミセス症pulmonary blastomycosisは通常分生子の吸入により肺に初発する。初期病巣は通常化膿性で、慢性化すると肉芽腫性に変わる。繊維性乾酪性病巣や空洞が生じることはまれである(ヒストプラスマ症との相違。病巣内には単極性出芽single buddingを示す直径3μmから25μmの酵母様細胞が認められる。全身性ブラストミセス症systemic blastomycosisは肺病巣から血行性に皮膚、骨、関節、脳、前立腺、睾丸へと転移することが多い。皮膚ブラストミセス症cutaneous blastomycosisは肺病巣からの転移、あるいは切傷などからの直接感染により起こる。潰瘍あるいは疣贅状に隆起した肉芽腫性病巣である。

 B.dermatitidisは27℃では菌糸状の発育をするが、組織内や栄養培地で37℃で培養すると酵母様の発育を示す。

 治療にはアンホテリシンBが有効である。 ミコナソールやフルコナソールはアンホテリシンBより劣るが、軽症の患者には有効である。