Abraxane(アブラキサン)の適応症に膵臓がん追加

FDAが末期(転移性:metastatic)膵臓がん患者 に対するAbraxane(アブラキサン)の使用を認可しました。
膵臓がんはアメリカにおけるがん死亡原因の第4位です。国立がん研究所(National Cancer Institute)の報告によれば、2013年にはおよそ45,220人が膵臓がんと診断され、38,460人が膵臓がんで死亡しています。治療法は患部の摘出術に限られていますが、診断が下された時には手遅れになっていることが多いです。
Abraxaneは特定の腫瘍の成長を遅らせる化学療法薬(chemotherapy drug)であり、膵臓がんが他の部位に転移した患者に対してグムシタビン(gemcitabine)とともに投与されます。
FDAは優先審査プログラムに基づいてアブラキサンの新使用法を審査しました。同薬は膵臓がんに対するオーファン・ドラッグとして既に承認されています。
膵臓がんに対するアブラキサンの安全性と有効性を調査した臨床試験では、被験者861名を「アブラキサン+ゲムシタビン」投与群とゲムシタビン単独投与群に無作為に割り当てました。その結果、前者は後者よりも平均1.8ヵ月長く生存し、さらに、腫瘍の成長(無進行生存;progression-free survival)が1.8ヵ月遅れていました。
「アブラキサン+ゲムシタビン」群で確認された一般的な副作用は、好中球減少(neutropenia)、血小板減少(thrombocytopenia)、倦怠感、四肢の神経損傷(末梢神経障害;peripheral neuropathy)、吐き気、脱毛、末梢浮腫(peripheral edema)、下痢、発熱(pyrexia)、嘔吐、発疹(rash)、脱水などです。一般的な重度副作用は発熱、脱水、肺炎(pneumonia)、嘔吐でした。他の臨床的に重要な重度副作用は、敗血症(sepsis:血流へのバクテリア感染)、肺組織の炎症などでした。
アブラキサンは2005年に乳がん、さらに2012年に非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer)の治療薬として認可されています。
今後のさらなる適応症追加も期待できるでしょう。