子宮頸がんワクチンの問題点

子宮頸がんの発がんに関与するHPVへの感染を予防するのが、子宮頸がん予防ワクチンです。日本では2009年から使用でき、多くの医療機関で予防接種が始まっています。ちなみに、100か国以上ですでに承認されています。子宮頸がんワクチンが日本で接種できるようになったことは、女性に福音をもたらしましたが、その一方で、がん予防の面ばかりが強調されてしまい、正しい知識が広まっていないのも事実です。

たとえば、日本産科婦人科学会などでは11~14歳の女児を中心に45歳までの女性に対し、ワクチンの接種を推奨していますが、すでに感染している状態を治すことはできません。またワクチンを接種したからといって、子宮頸がん検診を受けなくていいというものでもありません。現在のワクチンは、HPVの16型と18型のウイルス感染を予防できますが、それ以外のウイルス感染は予防できません。日本人の場合は3分の1以上が16型、18型以外のHPVに感染して子宮頸がんに至ります。

さらに、子宮頸がんを患った女性に対して偏見が生じる可能性があります。

HPVは性交渉をしなければ感染しない「性感染症」というイメージが広まり、「子宮頸がんになった女性はふしだら」というイメージが広まる恐れがあります。ワクチンばかりに目を向けないで、子宮頸がんの正しい知識も含めて普及させることが肝要です。

子宮頸がんワクチンについては、世界的には公費による無償接種が行われています。