内因性光線過敏性皮膚症

1)慢性多形日光疹polymorphous light eruption (Haxthausen 1929)〔PLE〕:湿疹型〔日光湿疹(eczema solare)〕、小丘疹および痒疹型〔夏季痒疹(prurigoaestivales)〕、局面型〔爪甲大までの苔癬化局面、 DLE に似るが寤痒あり〕、紅斑型

 〔顔頚部に多く、滲出性紅斑〕、環状肉芽腫型、脂漏性皮膚炎型などあり、春・夏に露出部〔顔・頚・項・手背・前腕・上胸〕に生ずる。薬剤など原因の明らかなものを除く。

 2)日光じんま疹urticaria solaris : 日光照射直後にじんま疹を生じ1~2時間で消える。女子に多く、時に家族性。感染症・虫刺症・外傷の先行することもある。320 nm 以下・320~400 nm ・ 400~500 nm の3種の波長域による。光アレルギー性か反復照射のうちに生じなくなることが多い。治療は抗ビ剤・遮光クリーム。

 3)種痘様水疱症hydroa vacciniforme 〔Bazin 1862〕

 〔症状〕

  a)日光照射により紅斑、次いで中心肺窩を有する水疱を生じ、やがて結痂して瘢痕治癒する。顔面〔特に鼻尖・頬・耳翼〕、手背、前腕伸側のような露出部に多い。

  b)3~4歳に始まり思春期頃に自然寛解。男子にやや多く、春より夏にかけ増悪、のち瘢痕のため醜形を残す。夏季水疱症(hydroa aestivale)はこの軽症。

 〔病因〕原因不明の[先天哇]光線過敏症〔多型光線皮膚症〕の一種。作用波長はUVA〔340~360 nm〕

 〔治療〕ポルフィリン症を除外。日光直射を避け、遮光クリームを使用。

Side Memo

 PLEは原因不明の光線過敏症の集まりで〔佐藤1989〕、 UVBを作用波長とする光アレルギー反応で外来性光感作物質を証明し得ないものをいう〔EI〕stein〕。春~初夏に急激に日光照射を受け、粟粒大の小丘疹・小水疱の多発するpapulovesicular light eruption〔Elpern 1985〕はPLEの一亜型で、小丘疹性日光疹〔堀尾〕もこれに近い。

Side Memo

 DeSanctis-Cacchione症候群〔1932〕:①色素性乾皮症、②小頭症と進行性知能低下、③生殖器発育不全、④小人症、⑤劣性遺伝、⑥母に流産が多く、患児には周産期障害〔胎動微弱・SFD〕が多い。しかし色素性乾皮症には多少とも②以下の症状があるので、特にこれを別症候群とする必要を認めない人もある。

 

 光線過敏性皮膚疾患[Ryan 1972]:

1。先天性多彩皮膚・・一色素性乾皮症・Rothmund-Thomson症候群・Bloom症候群・Cockayne症候群

2。光線阻止能不全(メラニン減少)・・・色白の人・フェニールケトン尿症・白皮症

3。 代謝・栄養・内分泌障害…ペラグラ・Hartnup病・下垂体障害・性腺発育障害

4。循環性光感作物質…ポルフィリン症・薬剤

5。接触性光感作物質…洗剤・タール・化粧剤・植物成分・重金属・薬剤

6。ケブネル現象としての皮疹の悪化…Darier病・毛孔性紅色粃糠疹・LE・多型紅斑・乾癬・扁平苔癬・アトピー性皮膚炎・湿疹・Senear-Usher症候群・単純性疱疹・リンパ球腫

7。病態不明…鼡径リンパ肉芽腫症・強皮症