貼り薬が意外な効果を

 

将来性豊かな、副作用の少ない貼り薬

 貼り薬は古くから、運動の後の筋肉痛をとる目的でよく使われてきました。しかし、近頃は全身性の作用を期待して、狭心症の発作の予防薬剤などにも応用されています。

 貼り薬の形として、「パップ剤」と呼ばれるシップ薬のような製品から「フィルム剤」と呼ばれる、薄い透明感のある肌色のビニールテープに薬を含ませた製品まで、さまざまな形態の貼り薬があります。

 ただし、男性の場合、貼る時は問題ないけれども、剥がす時に体毛がひっついて痛い思いをした人が多数おられると思います。そのような人には、スプレー剤のほうが好まれています。局所作用を期待する場合は、塗り薬、スプレー剤が使いやすいと言われています。

 しかし、全身性の病気の治療を行う場合は、貼り薬が必要です。

 スプレー剤だと、投与した薬の全量が吸収されず、吸収量にバラツキがでます。すなわち、ある時はよく効いたり、ある時は効かなかったりするのです。これでは薬剤として失格です。

 次に、貼り薬の仕組みについて説明します。貼り薬には数多くの製品がありますが、その仕組みは、大きく分けると3種類になります。貯留型(リザ-バー型)、埋めこみ型(マトリックス型)、テープ型の3種類です。

 貯留型は、薬を溶かして液体、寒天のようなゲル(ゼリー)状にし、支持層と薬を放出する膜との間に詰めたものです。市販の製品には、透明なものもあるし、肌色に合わせた製品もあります。いずれにしても、製品を指で押さえるとなかの液体がトロトロと動くような感じの製品です。

 埋めこみ型は、固形あるいは半固形で、固体のワックス状の物質に薬を含ませてあります。固形のワックス状のものは、少し固い感じがします。

 テープ型は、絆創膏と構造的にまったく同じです。皮膚によく貼りつくため、粘着層に薬が練りこまれています。非常に薄く、皮膚に貼っても装着していない自然感があります。薬剤にもファッション感覚が要求される時代です。特に、女性に好まれているタイプです。

 このような貼―薬の場ふR皮膚に長時間貼りついていなければなりません。しかし、あまりにも強力に貼りつくと、皮膚がかゆくなってきます。自分の皮膚に合う製品を選択して使用しましょう。

 一応の目安として、以下のことを知っておくと便利です。ケガの時に応急措置で使う救急バンドなどの貼り薬に使われている粘着剤には天然素材(ゴム系)と合成物との2種類があります。

 ゴム系の粘着剤は、天然素材のゴムに粘着付与剤、軟化剤(油脂類)、酸化防止剤(パラクレソール誘導体)などが混ざっています。このゴムの原料は、ラテックスです。ラテックスには蛋白質が含まれており、天然の安定剤となっています。しかし、ラテックスの精製が不十分だと、残っている蛋白質がアレルギーの原因になることもあります。

 そこで、アレルギーや皮膚への刺激性を改善した粘着剤として、アクリル系の合成粘着剤、シリコーン系の粘着剤が多く使われるようになってきました。

 また、最近の傾向として、皮膚のかゆみ、発赤が少なくてすむという発想から、これらの貼り薬の大きさを、どんどん小さくする方向で、製品の開発が進められています。貼り薬自体の大きさは小さくなっても、含まれている薬の量は変わりません。貼り薬から吸収される薬の量も変わりません。大きいタイプの貼り薬と小さいタイプの貼り薬でも、効き目は変わりません。性能が同じであれば、小さいにこしたことはありません。