技術翻訳にまつわる誤解

ビジネス関連メッセージの翻訳は、バイリンガルの友達と指先のインターネットがあれば難なくできそうに思えますが、素人がたま~にやる翻訳は直訳調の文章をもたらすことが多く、読みやすい文章とは程遠いどころか、内容の確認すらできないものを『排出』してしまうことがあります。もちろん、特定の分野にだけ通じる文法や構文、語彙、表現などはもっとメチャクチャになります。
他の国や地域の人を相手に書く場合には、比喩表現や意見の意味および真意をローカライズし、読み手に重要なビジネス文として真摯に受け止めてもらうために自然な言葉で伝えなければなりません。
良い例としては「アジアの世紀におけるオーストラリア(Australia in the Asian Century)」のJulia Gillard訳(中国語版)が挙げられます。これは不完全な文章と文法および構文の誤り、不適切な語彙、ちんぷんかんぷんな表現を含んでおり、多くの読者を混乱させました。
オーストラリアの新聞は次のように報道しました。
「これを翻訳した人はGoogle Translateに頼り過ぎたのだろう」
最近の機械翻訳(MT)システムはオンラインで提供されるものよりも遥かに優れており、インターネットシステムにない方法で原語の違いを認識することができます。
今回はビジネス目的の翻訳を取り上げ、それに関するでっち上げや誤解をいくつかブッタ切ってみようと思います。
1.高品質のビジネス翻訳には必要な要素がたくさんある
「翻訳者が必要だ」と思うこともあるかもしれませんが、高品質の訳文を絶対に手に入れるためには、自分で多くの情報を集める必要があります。国際キャンペーンや文書とウエブサイトには翻訳だけでなく、ローカライゼーション、チェック、改訂、編集、デスクトップ・パブリッシング、ファイル管理など、多くのことが関与しているからです。
英語のパンフレットを作成するのにどれくらいの時間がかかるでしょうか? 外国人の読み手を対象とする場合は慎重に準備を進めなければなりません。確認作業を行う人や、専門用語に精通した人、さらに最終的な編集作業を行う人の助けが必要になるでしょう。また、ファイル形式やコンテンツ管理システム、内部システムへの接続に対応するためのプロジェクト管理も必要になることが多いです。
2.バイリンガルの友達や同僚は利益以上に害をもたらす
ビジネス文書やマーケティング材料を翻訳する際に、バイリンガルの同僚や友達の助けを借りるのは危険です。なぜなら、彼らは対象分野に精通していなかったり、翻訳対象言語の地域出身ではなかったりすることがあるからです。また、ネイティブ-スピーカーではあるものの言語能力が低かったり、対象分野に通じているがフィードバックがいいかげんだったりという場合もあります。
誤解しないでください!! バイリンガルの人が役に立たないと言っているのではなく、ビジネスやマーケティング関連の文書を翻訳する際には、彼らに対して内容を明瞭かつ正確に説明する必要があるということです。「この訳文どう思う?」と聞くかわりに、「これ理解できる?」「この訳文は正しい言葉を使ってるかな?」「このメッセージの解釈は間違ってないかな?」と質問してみるとよいでしょう。
3.機械翻訳Google Translateよりも優れている
機械翻訳(MT)システムはGoogle Translateとは違います。事実、機械翻訳という用語は、高度にプログラムされたIT翻訳エンジンを意味しており、ここでは特定の技術用語、無数の承認済み翻訳メモリー、大量の技術データを記録し、MT用に作成された原文を即時かつ適切に訳します。
でき上がった訳文は次に人間の手によって校正されます。ツールの使用は自動化可能な繰り返し作業の効率を上げます。