Droplet Digital PCRで老化関連のmtDNA欠損を正確に検出

「Aging Cell」で公表された試験により、いろんな病気や老化に関連したとっても珍しいミトコンドリアDNA(mtDNA)欠損を特定する新しいツールが明らかになりました。Droplet Digital PCR(ddPCRトレードマーク(TM))技術を利用するこの方法は、潜在的な疾患バイオマーカーとしてのmtDNA欠損を発見する上で役立つものになります。
mtDNA変異の蓄積は老化と神経筋異常、がんに関連しています。しかし、この突然変異の基本メカニズムを見出すための従来の方法は、正確な定量化と新しい欠損イベント(正常組織のミトコンドリアゲノム1億個につき1回発生)の特徴付けでその能力が限られていました。この限界を打開するため、シアトルのFred Hutchinson Cancer Research Center研究員が、『Digital Deletion Detection(デジタル欠損検出法)』(3D)として知られるddPCRベースの分析法を開発しました。これにより、珍しい欠損の高解像度分析が可能になります。
ゲノム内の欠損はもちろん、mtDNA変異を見つけるのはメチャクチャ難しいことなのですが、この3D分析は、リアルタイムPCRなどの既存方法よりも検出精度、特異度、正確性で圧倒的に優れています。droplet digital PCRによる処理量の増加により、従来のデジタルPCR法を用いた場合では達成できなかった「欠損イベントの分析時間短縮」が可能になります。この技術がなければ今回の発見はなかったでしょう。
試験の中心は、Bio-RAd研究所のQX100トレードマーク(TM) ddPCR システムにありました。Bielasらの研究チームはこのシステムを用いて、8000億個のヒト脳mtDNAゲノムを分析し、欠損のあるゲノム100,000個を特定しました。また、一般的な考えに反し、mtDNA欠損の増加の多くは、新しい欠損ではなく、むしろ既存の欠損の拡大により生じることがわかりました。そのため既存変異の拡大が、老化関連のmtDNA欠損蓄積に寄与する主因であるという仮定がなされました。
いやぁーそれにしても最近は3D技術がさまざまな分野に進展していてすごいですねぇー。