アバスチン

アバスチンはVEGF(血管内皮増殖因子)に対するヒト化抗体で、癌細胞が増殖するために利用する血管の新生を阻害し、癌細胞の成長を抑え込む新薬です。癌患者の生存期間の延長が有意に認められ、ヒト化抗体のため高価な薬剤ということもあり注目度が急速に高まりました。
開発したのは米バイオベンチャーのロシュ・グループ傘下のジェネンテックです。日本では同じくロシュグループ傘下の中外製薬が大腸癌を最初の適応症として発売承認を取得しました。
アバスチンの保険償還価格は1ヵ月平均でみて米国では当時4120ドル(体重60kgの患者)または年間5万5000ドルが上限とされ、欧州では1ヵ月平均3000ドル程度とされていました。日本での薬価は30万1746円に決まりました。当時の為替レートを115円/ドルで換算すると欧州よりも安い薬価が付いたことで、薬価算定のルートである外国平均価格調整の運用について疑問視する声が上がりました。